9.マドゥライ
〜魚の目の女神〜

アウェイで仲間を見つけて浮かれる
午後3時、カニャークマリ発マドゥライ行きのデラックスバス(250ルピー)に女子3名で乗る。エアコンこそなかったが、足乗せ台付きのバスは乗り心地がよい。

車中ではさやかとずっとおしゃべりをしていた。彼女は卒業旅行でインドに来ている学生で帰国後は就職するという。英語が上手な彼女の口から「Actually」という単語が出る度に、英語不自由人としてへーっと感心した。そんな彼女の顔つきや旅の感想に自分と近い物を感じたのもあるし、思う存分日本語が使える楽しさもあって、うっかり2人だけで盛り上がってしまった。ヘイミンは韓国と英語しかできなかったためか、あるいは気があわなかった為か、終始1人で携帯電話を操作してて、結局ポンディチェリー行きに変更すると言い出した。何となく悪いことをした。

夜9時頃にマドゥライ着。内陸のごみごみした感じが戻ってきた。大通りの横断歩道で渡れずにまごついてたら、おじいさんが無言で導いてくれた。おじいさんありがとう。

連れのいる気楽さからか、すでにインディアン・デンジャラスタイムではあったが余裕を持ってホテルをさがす。K.T.ロッヂのデラックスツイン(1人当たり550ルピー)を見つけて交渉のすえチェックイン。

とにかく、2人とも蚊に狙われがちな東洋人女性ゆえに蚊が大嫌いだったので蚊をなんとかしようという話になった。フロントで蚊取り線香をもらった。が、全然効かない。最後の手段として秘蔵してたキンチョー蚊取線香を付けてなんとか眠った。それでもさやかは万が一のモスキート攻撃対策として、暑い中、寝袋にくるまって顔の上に布まで載せていた(私も似たような状態)。

翌朝は7時に起床し、ジャヤラーム・ベーカリーをめざすも、10時開店とのことで、ロッヂ近くの”インド人満載食堂”で朝食にする。相席したおじさんはイドゥリーを5、6個にドーサまで食べていた。私はイドゥリー2個とチャイ。地元民が大挙するだけあってとても美味しかった。さやかは小食だった。

ミーナークシー寺院観光
一端ホテルに戻ってからマドゥライ観光の目玉であるミーナークシー寺院に行く。魚の目をもつ女神ミーナークシー様と夫のスンダレーシュワラ神をまつる、南インド独特のど派手なドラヴィダ・ヒンドゥー寺院である(神様をまつるなら「神殿」だろうと思うのだが、英訳がテンプルなので「寺院」表記)。日本の寺社仏閣の山門も大きくて立派だけど、こちらの門:ゴープラムはとにかく天を目指すように高くて、目眩がするほどでかい。特にミーナークシー寺院のそれはトップクラスのどでかさであった。表面には極彩色のペンキで彩色された神像が、思い思いのポーズでびっしり付いていて、今にも踊り出しそうなパワーを感じる。

入り口でチャッパル(サンダル)をあずけてから、日光でホットプレート状に焼けた石の上を、悲鳴を上げつつ歩む。寺院の中は迷うほどに広大で、参拝客だらけだ。

内部の雰囲気は、それこそ、往年のインディ・ジョーンズ先生がずかずかと宝探しでも始めそうな良いムードで、床も壁も天井も柱も、すべてに意匠が懲らしてあって見ていて飽きない。

ひとりのおばあちゃんが私たちを神殿の奥に案内しようとしてくれたけど、そこは異教徒立ち入り禁止だった。でも充分堪能できた。

 

異教徒ながらも2人であれやこれやと参拝し、ナンディ(シヴァ神の乗る牛の名前)の石像の所に赤い粉がおいてあるのを見つけて、これはなんだろうね、と見ていたら、少女が「これはこうするの」と額に付けてみせて、私たちの額にも付けてくれた。ムンバイからお参りに来ているんだとニコニコしていた。

他にも、とある場所の柱をコインで叩くと良い音がすると教えてもらって、実際に叩いてみたりした。石とは思えない澄んだ金属的な音がした。どんな意味があるのか分からないなりに素敵な気分だった。漫画のような絵物語を延々見たり、ミーナークシー様のブロマイドを選んだり、スイートライス10ルピーを食べたり。ライスはバナナの皮に包まれてて、味はココナッツミルクとサトウキビで煮込んだ感じの優しい甘さで美味しかった。

人々が一心に祈りを捧げる場所には良い緊張感とムードがあり、やっぱりとても楽しい。

寺院内で迷い街中でも迷う日本人2名
さやかがニュー・アーリヤ・バワンに行きたいと言うので歩いてゆくも、地球の歩き方mapがよく分からなくてまた迷った。よく言われるけど、これでは地球の迷い方だ。途中、生ジュース屋を見つけてパイナップル生ジュース20ルピーを飲む。ゴミだらけで暑くて人も車もうるさい。野良牛が道端の生ゴミを食べている様子を横目で眺めつつ歩く。しかし、ようやく見つけた店は閉まっていた。さかやの予約バスの時間まであまりなかったのもあり、ロッヂに引き返して近くのレストランで昼飯のターリーを食べる事にした。何度かライスをおかわりした。バナナの皮の上で大粒ライスとさっぱり味のカレーをまぜる。とにかく、手で食べられるのが楽しくてしかたない。

再びひとり旅、一期一会
さかやが載るオートリキシャーを見送ると寂しさがマックスになった。一泊二日共にいただけなのに半身を失うような寂しさだ。ともあれ、進まねばならない。自分もオートを捕まえて、タンジュール行きのバス停を目指す。

4時頃バスに乗り込む。隣に座ったマッカトラシアとナジューラという親子と交流した。マッカトラシアは英語が分からなかったので完全に身振り手振りと写真。ナジューラはサングラスを付けた私を怖がっていたけど、バスを降りてからは満面の笑みで手を振ってくれた。もう二度と会えないと思うと切なくて、私もずっと手を振って2人(と迎えのおばさん)を見てた。

親子が下車した停車場で豆サラダを買った。ゆでたての豆、生タマネギ、人参、パクチーにスパイスがふりかけてある。こんなに美味くて10ルピー(20円!!)。

 

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