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10.タンジョール 出だしは怒号 もう、怒り心頭ですぐ近くの新しいホテルにチェックイン。しかも、この新品ホテルも、私が英語不自由な外人女だからと馬鹿にして”デラックスシングル660ルピーしかございませんマダム(にやにや)”と言っているのだろう、きっと多分おそらく、と思うと、先ほどの件含めて何百倍にも腹立たしさが膨れあがり、部屋は清潔だったけど、タンジョールはさっさと去るべしと決心した。 翌朝おきてみれば眉間を蚊にやられていた。踏んだり蹴ったりだ。ともあれ、ホテルわきのチャイ屋でチャイ&バーダ2個15ルピーを食べる。このお店、新築っぽいのに床にもテーブルにも蠅が飛びまくっている。店のおじさんに親切にも色々気を遣ってもらい、おかげで前夜からのむしゃくしゃが緩和され心が和らいだ。ホスピタリティ。
世界遺産ブリハデーシュワラ寺院 タンジョールという街は「9c〜13cにかけてチョーラ朝の首都として栄えた古都」(地球の歩き方・インド'01-'11より引用)だそうだ。その栄華のなごりであるブリハデーシュワラ寺院は、とにかくめちゃくちゃでかいの一言につきる。ご本尊を安置する主塔にいたっては全長63m。スカイツリーの10分の1か。
人もまばらで、世界遺産と言っても観光客もまばらで、特に何があるでもない。少年達が木の回りでトカゲを見つけてさわいでいた。のどかである。
耳毛おやじと街の人達 街中をとぼとぼ歩く外人がよほどめずらしいのか、何やかやと話しかけてくる。しかも、信じられないかもしれないが、ナンパや商売とは違う理由で。中でも耳毛オヤジとの邂逅は面白かった。
なんだったのか不明だが、台本でもあるみたいに息がピッタリだった。 他にも、めがねの男に道を聞いたり、水牛が引く荷車のために道路が渋滞するのを見たり、売店のオヤジさんにタンジョール在4日目の日本人ミュージシャンの噂話を聞かされたり、可愛い女学生集団と笑顔ですれ違ったり、バイクで目的地まで送る申し出をされたり、なんてことないが楽しかった。 ただ歩いているだけなのにタンジョールの人たちは話しかけ、笑いかけてくれた。私の中に笑顔のパワーがたまってゆく。
パレスはお勧めしない
おばちゃんに助けられる さて、地元民にまみれてバスに乗り込んで、痩せた若い切符係に2ルピー(4円!)渡したところ、なぜかもう一度2ルピー払えと言われた。他の乗客は2ルピーしか支払っていない。意味が分からなくてまごまごしつつ財布に手を出したら、後ろに陣取っていた小太りなおばちゃんがその手をそっとおさえて、頭を振った。それで切符係は何事もなかったかのように券売作業を再開したのである。確信犯だ。 「払ったら駄目、気をつけて」と言われたようで目が覚めた。 おばちゃんの心がありがたかった。たった1人で味方もなく歩いているような気持ちだったけど、そうじゃなかった。この白くてのっぺり顔の、得体の知れない異邦人を心配して見守っててくれた人もいたのだ。それを彼女は騒ぎ立てもせず、ただ2つばかりの静かな行動で示してくれた。とりあえず、自分でも気を引き締めねばと思った。 このように、インドでは市バスの切符係の約半分がこの手のぼったくり師と断言してもいいと思う。安くて便利な市民の足ゆえに、元から10円20円の激安運賃なので、仮にぼったくられたとしても被害というほどではないが、少なくとも良い気分にはならない。なので、おばちゃんに助けられたこの瞬間がその日1番強い印象を残した。言うなれば、そう、心にスッと焼き付いた忘れ難い一瞬のスナップ写真だろうか。 (もちろん耳毛氏も相当なインパクトではある)
インドジャーニー万歳・ポエム 「チャイを飲む」 NBSからクンバーコーナム行きのバス(15ルピーのところ20ルピーとられた。10円の損失。小さい!)にのる。ローカルバスにも慣れてきた。インド音楽をガンガンにかけ、神聖なる神棚まで電飾で激しく明滅する、乗り物と言うよりはディスコに近いバスの中で、インド人に挟まれたまま運ばれて行くのも、おつなもんなのである。
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