4.アウランガバード突入(1)
〜岩をもうがつインド人のど根性〜

ACとノンAC
2/7の夜、バインダル発アウランガバード行きのバスに乗り込む。しかし、これがまた大変であった。夜行バスだからエアコン無しの安いバスで余裕だろうと高をくくり、ノンACバス(ちなみにムンバイ→アウランガバードは片道250ルピー)を選んだのがそもそもの間違いだった。

ところで、ノンACとは何か。インドではしばしばこのAC/ノンACの区別がレストランや乗り物で出てくる。ACとは「エアコンついてます」の略称でノンAC「エアコンないです」と比べて2倍高い。だから、コストだけ考えたら暑さを我慢してノンACでも良さそうだが実は「AC付き」が意味するのはエアコンの有無だけではない。

超格差社会のインドにおいてAC=エアコンはステータスのあかしであり、お金持ちやそれなりの身分にしか許されていない贅沢品なのである。よって、AC付きはホテルもレストランもバスもおどろく程快適な作りになっている。(身分の低い者は立ち入り禁止。インドでは身分ごとに利用する店が厳しく分けられている。外人は例外。)といっても日本で庶民が享受するサービス程度なんだけど。それだけ日本が凄いということでもある。逆にノンACはちょっと目を疑うくらいズタボロだったりする。

そして、私が生まれて初めて乗ったインドの長距離バスも見事なオンボロだった。



ノンACバスがくれた素敵な夜
黒ずんだマスクさて、いったい何があったかというと、まあ、たいしたことではないのだが、要するに全然眠れなかった。
道がめちゃくちゃ混んでいてまったく進まない上に、エアコンがないので窓が全開で、よって、排気ガスや路上の悪臭や蠅や蚊が入りまくりなのだ。あまりにひどくて咳がとまらなくなり、念のため日本から持参したマスクを装備してみたが、翌朝みたら呼吸部分がが灰色に変色していた。恐るべしインドの大気汚染。

他にも、3度結婚式の花火で起こされるは、目にしみるほどの硫黄臭におそわれるわ、窓ガラスが割れるわ、日本の過保護な環境にいたら絶対体験できないような、素敵なイベントが目白押しで、ようやくうとうとしかけても早朝の冷気がじかに体にあたり、いまだ風邪の咳がとまらない病人としては、心底きつかった。

ノンACあなどるべからず。ちなみに隣にいたおばあちゃんは特に嘆くでもなく慣れたもので布にくるまりスヤスヤと寝ていた。(ちなみに、おばあちゃんが座っている席は私が予約した席だった…。取られた…。)ほとんど眠れぬままバスを降りれば、朝の7時、アウランガバード到着であった。



ホテルさがし
荷物を背負い、自分の足でホテルを探す。これこそバックパッカーのイメージでなくてなんであろうや?私は寝不足と病気でふらつきながらも、このバックパッカー的イベントに胸を高鳴らせて朝日を浴びた。
レッツ・バックパッカー!間もなく5,6人のリキシャーワーラー(インド簡易タクシー=リキシャの運転手)が私をかこんだ。アドレナリンのせいでハイテンションだったので、楽しく値切り倒し、安ホテル通りに行く。で、地球歩のセオリー通りに3つばかりみて、結局、地球歩に掲載のホテルに落ち着いた。

ロンリープラネッツ(ガイドブック。白人は大抵これ)にものってる。外人御用達の中級ホテル「Hotel Shree Maya」である。nonAC一晩500ルピー。高い。フロントのサンジャイと会話したのは楽しかったけど、風呂を覗かれたり、夜中まで五月蠅かったりと、そこまで凄くいいホテルではなかったが、アシャの家と比べたら、ぜんぜん蚊もおらず(いるけど)よく眠れた。



エローラ石窟寺院をみる
ぼったくりサンジェホテルをきめた後に世界遺産のエローラ石窟寺院見物に行った。しつこいリキシャワラのサンジェに押し切られて一日500ルピー。相場は300ルピーだったみたいなのでささやかながらさっそくやられた!という感じ。基本的によってくるインド人は全員この手のぼったくり野郎だと見て間違いはない。

広い平地は乾燥しきって植物もよほど熱に強い種でなけりゃ枯れるくらい日中の日差しは強烈で、ソンな道をずっと行くとちょっとした小山連邦がみえてくる。これがエローラだ。崖の上を丸堀して作られた古いお寺で、無数の仏、瞑想室、ヒンディの神々が涼しい石窟の中で静かに存在している。アジア系の坊さんが何組かきていて観光と言うよりはまぢに祈りに来ている具合。異性に触れるとダメな宗派があるので、すれ違う際は気を遣った。

エローラ

エローラで一番すごかったのは、その反響音である。人がいなくなった隙に、歌を歌ったり、あーとかうーとか、それだけでも気持ちがよい。自称ガイドがいたるところに居たのだが、そのうちの1人がそれらしいマントラを歌ってくれて、そのあまりの響きに鳥肌がたった。かつて、ここで集団生活をしていたインド人仏教徒が聴いたであろう響きを思うと、うらやましくてならなかった。



ナンパ
中に入る前に「ジョンさん」と名乗る物売り青年がナンパしてきたが「youは他の日本人とちがう。良い何かを感じるんだ(ニヤニヤ)」と言うその目はあくまでも冷静。他にも、自称ガイドが「ここはホーリープレイスなので神様からのレスポンスがある。(深呼吸して何かを念じる風)さあ、私の手をさわってごらんなさい」と迫ってきたりして、この時は周りに人がいなくててマヂで怖かった。他にもへばりつこうとする物売り爺、泣き落としでねばる物売り少年などなど、段々うんざりしてくるのである。日本人はもてるという話だが、実はモテではなくて単純に”たかられて”るだけだ。蚊を人一倍引き寄せてしまう自分は、インドでは金欲しい人間をも引き寄せてしまうのか。というより、日本人はみんなそうなのか?

エローラ全景それにしてもエローラは暑くて暑くて死にそうだった。トイレなんか行かなくても水分は汗として全部持って行かれる感じがする。ペットボトルも当然のように1リットルを買う。500mlなんてすぐになくなるし、あまり売ってもいない。インドはまぢで暑い国だと、内陸アウランガバードでつくづく思い知る。

そしてこの日はじめて外で用を足す若い婦人を見た。

 

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