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5.ゴア(3) 足の下から生ぬるい風 生ぬるい風を足に感じながら旅について考えた。世界遺産を見て証拠写真を撮ることや、本場のカレーを食べて自慢するのが旅の本当の収穫などではなく、この足の下から吹く生ぬるい風を体験することが旅の果実なのだ。そう分かると嬉しくて人知れずドラマチックに盛り上がったが、突如猛然たる便意におそわれ頭の中は100%宿のトイレでいっぱいになった。
マナリの農夫に店を教えられる もう慣れたもので適当に話を合わせつつ、それでも真剣にカニの行方を考えていたら、今度はインド人旅行者のオヤジ:チャーマン氏が来た。いつものインディアン・ナンパである。インド北部山岳地方マナリでリンゴ農家をしてて作業の無い夏に毎年ゴアで遊ぶ独身貴族だそうだ。
ターリー(南インドの定食、カレー&ライス&おかず)を食べたら値段の割にすごく美味しくて驚いた。もちろん手で食べた。手を使うとゆっくり食べられるし、おままごとのように楽しく、何より美味しいのだ。この頃はもう手で食べるようにしていた。 食べながら観察したところ店に来る客は我ら以外みなどことなく妖しげなヨーロピアンばかりだった。ドレッドヘアのにーちゃんはタブラを妖しげに叩いている。音楽家なのかと聞けば2週間前にデリーで買ったばかりなのさとひどく適当。やがてねーちゃんと人目も気にせずいちゃつき出す。また、その側ではとろーんとしたドイツ人ぽい男とシワシワの男が妖しげな英語を駆使して映画やダライ・ラマについて話している。とうとう念願のヒッピーに会えたのだろうか。とにかく飯は美味で安いがあやしい店なのであった。だがなんせターリーが美味いので気に入ってしまった。 店を出てすぐに、物売り少女に押し負けてワンピース&バングルを200ルピーで買う。後悔。たかだか400円だがインドにいると200ルピーがたいそうなものに思えるし、非力なバックパッカーとしては荷物が増えるのは問題だし、だいたい、いらない物はいらないのだ。夜、悪夢で目覚めて激しい憂鬱におそわれた。ホームシックだろうか。旅に出てからそろそろ3週間がたとうとしていた。
海のなぐさめと野良犬 さて次はどこへ行こうかと、ぜんぜん働かない頭をひねる。足の甲は日焼けがひどくて赤黒くひりひり痛む。 |