17.プリー(1)
〜沈没とホーリー〜

5円玉をインド人にとられる
プリーについてすぐリキシャーワーラーに囲まれたので、適当にいなしつつ、食堂で一服する。すると自称ガイドのしつこいおっさんにへばりつかれた。日本円が見たいといわれたので、馬鹿正直に5円玉を出して「これは日本で”ご縁”の意味があるコインなのだ」と説明したら、プレゼントされたと勘違いしたのかサッと取られた。その後5円泥棒の勧めるリキシャーに乗り、サンタナロッヂに向かった。

伝説の日本人宿サンタナ・ロッヂ
そんな感じでようやくついた日本人宿。ここに我が同胞連中(ジャパニーズ)が詰まっているのだなと、文字通り闇夜の中で明かりを見いだしたような気分で宿のドアを前に立った。ドアには鍵がかけてある。チェックインの人はインターフォンを押して下さい、と日本語の注意書きが。なるほど日本人宿だよ、このセキュリティ、そして日本語。入る前からすでにインドとは思われない妙な安心感がわき上がる。

オーナーは日本語ペラペラのインド人(しかも同い年!)だった。のどまで出かかった下手クソ英語を引っ込めて嬉々として日本語を使う。なんという便利さだろう。日本語を思うままにしゃべれるこの自由。入り口がすぐに事務所兼図書室になっていたので、チェックイン手続きをしながら、ずらりとならぶ日本語書籍をチラ見した。

サンタナは宿代も安い。1日2食、2チャイ付きで驚きの140ルピー(280円)だ。wifiは一日50ルピー(100円)で使い放題。本も一応読み放題、宿泊客は全員日本人で、そうなってから今まで一度も盗難事件が発生してないとか。部屋には鍵がないのである!インドで鍵がない宿!

噂の日本人ホイホイ、日本人宿サンタナロッヂは予想を斜め上にいく快適さであった。自分の飛行機チケットが半年オープンだったら、もうぼんやり3ヶ月くらい居座りつづけてしまいそうだった。

プリー観光
2日目の昼は、ジャガンナート寺院まで歩いた。レンタルサイクルを勧められたが、プリーの町人生活も眺めてみたかった。地球の歩き方Mapを片手に、UVカットの日傘を差してとぼとぼ歩く。牛のおしっこの勢いに驚いたり、椰子の葉が落ちるのを目撃する。椰子の葉、あれは危険だ。寺院内は異教徒立ち入り禁止だったので、門前に建つライブラリーから見ようかと入ったら喜捨をもとめられた。喜捨帳には馬鹿みたいな額が記録されていたので面倒くさくなり、やめた。あれはきっとゼロを何個か足しているんだろう。あんなもんで騙されるほどお目出度くはない。もう一ヶ月半インドにいて散々な目にあっているのだ。

ぐるり寺院の周りをあるく。とにかく糞だらけ。あと、うなぎパイみたいな揚げ菓子がやたらと売られていた(蠅がものすごいたかっていた)。目抜き通りのベジレストランでランチしつつ、テラスから寺院の中をみたが遠すぎてよく見えなかった。すでに寺はげっぷがでるくらい見まくっていたので、特に執着は感じなかった。ところで、この時飲んだマサラコールドドリンクがまずかった。クミンパウダー+レモン+炭酸水+砂糖+岩塩!! 体には良いのかもしれないが、岩塩の硫黄臭がきつかった。なんで岩塩いれるかなぁ?

プリーとジャガンナート神について
プリーはジャガンナート寺院を中心とした巡礼地である。一年に一度のラタ・ジャートラ祭の日にはインド中からどっとインド人が押し寄せるという。ここで信仰されているジャガンナート神というのが、不思議なルックスの神様で、普通のヒンドゥー神のイメージとはちょっと違うキャラクターチックな二頭身の姿をしている。水木しげるの漫画に出てきそうだ。しかも、かつては大祭中にご神体を載せた山車の前に熱狂信者が身投げしたという。ルックスといい、エピソードといい、ジャガンナート様はなんだかカオスなパワーに満ちている。元々はオリッサ地方の土着神で「宇宙の主」だという。通常はジャガンナート(黒)・バララーマ(兄:白)・スバドラー(妹:黄)の三体ならべて表現される。

今回の旅で神様ブロマイド収集に目覚めた私は、とにかくジャガンナート様に一目惚れした。格好いい、可愛い、カオス。まったく言うこと無しである。寺の前の大通りでジャガンナート様のブロマイドを物色したのがなんと楽しかったことか。特にスバドラー様(妹)と思われる御神体写真がすごくて、今も上記三神ブロマイドと共に部屋に飾ってある。毎日見ているので馴れたが、初めて見た時はすごすぎて鳥肌が立った。素人には刺激が強すぎるのでここには公開しない。興味のある人は現地に行くとよかろう。

ブロマイドを手にして満足し、暑さに悲鳴をあげつつ徒歩で帰った。普通はリキシャー使うと思う。途中で暴れ牛をみた。牛にも色々思う所はあるのだろうと感じた。プリー駅近くで小さな祠も見つけた。側面にはおそらく守護者と思われるレリーフ。目の部分が上手く工夫されてて、どこから見てもこっちを睨んでいるように見えた。プリーで目にする神様にはひと味違うカオスなパワーを感じる。

インドの犬
犬にも吠えられた。集団で唸りながら着いてくるので、大声で吠え返したら、連中スタコラ逃げていった。犬は案外臆病なので、怖がって逃げるよりも強気に出るのが大事。インド人など犬に対して遠慮なく怒鳴り散らすし石もなげる。そのためか、日本の犬達とくらべてこっちの犬は自由で楽しそうだけれども、痩せて傷だらけだ。

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