18.コルカタ(2)

記念切手を買う
記念切手を買いに中央郵便局に行った。周囲は便せんやペンや封筒を売る露店で結構賑やかだった。大きい郵便局なので案の定、様々な窓口がずらりと並びどこで切手を頼めばいいのかさっぱり分からず。いつもの通り、その辺にいる人を捕まえて聞く。なんとか別室の切手売り窓口までたどり着いたら、またしても!ずうずうしいオヤジがペッタリ張り付いてきた閉口した。インド名物張り付くオヤジ。それでも切手の係員がどっさり面白そうな記念切手を出してくれたので、さて物色物色!とホクホクしてたら、張り付きオヤジが横からいらない説明を垂れ流してやたらとせかす。しかも不必要な密着。職員かもしれないので我慢していたが、案の定、郵便局とはまったく無関係の自称ガイドであった。それが分かった途端、我慢した自分の馬鹿さ加減も切手を物色する楽しみを邪魔されたのも、すべてがいまいましくて腹が立った。分かっていたらこんな痴漢まがいのごろつき野郎など相手にせず、Stay away! で追い払ったと思う。この手の張り付きオヤジがインド旅行の印象を最悪にしている。

ともあれ、星座や伝統工芸、スパイス切手などを買った。

カーリー寺院でカーリー様と会う
コルカタ滞在4日目。コルカタの守り神カーリー女神をまつる聖地カーリー寺院をお参りした。毎日山羊の生け贄を捧げる儀式があるそうで、とりあえず、絶対その時間だけは避けようと心に決めていた。神様ブロマイドのコレクターとして何度かカーリー様のご尊顔を目撃していたが、そのどれもが見事に恐ろしい。真っ赤な長い舌をだらりとのばして、意思の疎通ができそうにない表情。さて、寺院はどんな雰囲気であろうか。

門前通りの土産物を横目で見つつカーリー寺院に到着。入り口でまごついていたらぼったくりガイドにつかまった。ガイドブックにも注意書きがあったのだが、持ち合わせが少なかったので、安心して連れ回されるままに寺院内を見物することにした。

門をくぐると、インド人参拝客がやる気&熱気に満ちて行列していた。そこかしこでカーリー様に捧げるハイビスカスの花輪や捧げ物などが売られている。床に落ちたハイビスカスが粘土みたいに足の裏にくっつくのが不快だった。こんな大行列では3時間待ちかな…とぼんやりしていたら、ぼったくりガイド氏が行列を無視してぐいぐい中に誘導してくれた。どういう仕組みだか知らないが、特にしかられる事もなく本堂に入れた。

本堂の内側は通勤ラッシュ時の埼京線よりギュウギュウで、皆血走った目でご本尊を拝もうと押しまくるので、”人肉押し寿司”状態である。ハイテンション。一段高い所に僧がいて、捧げ物を受け取ったり、祝詞をあげたりしていた。ぼったくりガイド氏に押し込められる形で、必死に肉をかきわけたら、ポロッという具合にカーリー様のど真ん前にでた。ご本尊は三つの赤い眼が描かれている黒い石で、蛍光灯で白々と照らされている。インド人に押しまくられつつガイド氏に用意してもらった捧げ物を僧に渡すと、何か私には理解できない祝詞がはじまったので、手を合わせた瞬間、全身総毛立った。怖いような感動したような強烈な感情が生じて、訳も分からずうちのめされてブワッと涙が溢れた。嘘みたいだが本当の話である。

自分でもよく分からない。周囲のインド人エネルギーに感応したというのが1番現実的な解釈だろうが、私はなんとなく、カーリー様に見られたのかなと思っている。普段思考やなんかで分厚く囲まれている生の意識に直接触られたようなそんな感じだったから。さすが神秘の国インド。寺院を出た直後は、いったい何が起きたのか分からずおののき、混乱して、ぼったくりガイド氏にも100ルピー(200円)払ってしまった。でも200円以上の価値はあった。

あのカーリー様の霊力は、毎日生け贄を捧げられているからなんだろうか。それともインド人の信心パワーが強いから?都会のど真ん中にありながら、カーリー寺院には確かに神様がいた。聖母マリアとか菩薩のようにやさしく慈愛に満ちた女神ではなく、カーリー様は真っ赤な血のイメージのまま、生きて死ぬ命のむちゃくちゃなパワーそのものだ。それはまた、人間の理解を超えた、名付けようのない圧倒的なまなざしでもある。神様とはそういうものなのかもしれない。

光と闇が混ざった命のパワー、生々しい生命力の象徴であるカーリー様がコルカタ市民は大好きみたいだった。市バスも店もカーリー様の恐ろしいブロマイドだらけである。ある意味、町自体がカーリー様のようでもあった。泥の中から蓮は咲く。タゴールもマザーテレサもコルカタだからこそなのだろうと、カーリー寺院を拝観してから納得した。

ところで、マザーテレサと言えばマザーハウスだが、来る前まではボランティアしようと思っていたが、現地だと観光名所みたいな扱いだった。あんた日本人?ああ、じゃあマザーハウス行く?みたいな。観光気分の日本人旅行者がわんさと押し寄せて、中には「指示待ち」してるあんぽんたんもいると言うではないか。なにか非情に恥ずかしくなり辞めてしまった。

仏像の首が取れる
コルカタを出る夜、市バスの中で仏像(ムンバイでもらった)の首が取れた。私の身代わりに??と思うと、昔話みたいで面白いと思いつつもゾッとした。やはりデンジャラスシティ・コルカタなのか。そういえばカーリー様は生首のネックレスをしている。とりあえずこれからはカーリー様は様付けでしか呼べないなと思った。さわらぬ神にたたりなし。ともあれ仏様ありがとう。

 

その他コルカタで目にした風景など↓

 

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